富士山の伏流水に恵まれた富士山西麓、富士宮市は鱒が名産。そんな鱒や淡水魚の研究、生育を行っているのが富士養鱒場(ふじようそんじょう)。正式名称は静岡県水産試験場富士養鱒場(しずおかけんすいさんしけんじょう・ふじようそんじょう)と仰々しいネーミングを持っていらっしゃる隠れ人気スポット。
手入れがあまり行き届いていない猪之頭公園のほど近く、ひんやりスポット陣馬の滝から車で数分。30台ほどの駐車スペースがあり、総面積は45,000㎡くらい。なかなかの広さをほこる養鱒場は入場に大人300円。子ども100円。愛想のよい受付のおばちゃんからチケットを購入。入口ではマスの餌が売っている。そんな商魂たくましさはキライじゃないし、マスの研究に還元されているとなればじゃんじゃん餌をあげたいものである。
養鱒場内はいくつもの養殖用の池があり、生育度合い別に鱒が所せましと泳ぎ回る。その姿を見るだけでもなかなかにときめいて、アルビノなのかなんなのか白っぽいマスを見つけたときにはちょっとテンションがあがる。もれなく入口で買ったエサを池に投げ入れてみることをお勧めしたい。マスたちが勢いよくエサに群がる光景は圧巻である。
その標高の高さと、湧水に恵まれた立地から園内は涼しさに包まれ、日陰もほどよく散策も楽しめる。管理棟には展示コーナーがあり、大型の水槽も併設して淡水魚について学ぶことができる。タイミングがよければ業務的な給餌なんかも見ることができばっちゃばっちゃと餌に群がるマスたちの勢いを見学できたりもする。
そしてメインディッシュは釣り堀。どうせマスがいっぱいいるし、なんなら釣りでエンジョイしていただきお金も落としてもらおうと、こでも銭勘定をする抜け目のなさ。どのみち出荷され、食用などでみなさんを楽しませるワケではありますが…適度に生育したのに、釣られてしまうマスたちの気持ちにもなってほしいものである。いや、もしかすると「楽しませる」ために釣られゆくマスたちはエリートなのかもしれない。
簡易的な釣り竿に、練り餌を渡され「釣った魚は逃がしちゃいかん」「重量によって値段がかわるからねー」と簡単な説明を受けていざフィッシング!なんのことはないファミリーフィッシングではあるものの、マスたちの元気なヒキ、アタリのよさなど役者ぶりがいいので結構楽しめるワケである。料金は1kgまで1,700円。それをオーバーすると100g刻みで追加料金が発生するため、目方で重さを調整しながら釣りあげていきたい。そう、釣りすぎてもリリースはできないため、欲張って釣りまくるとお金がかかることも。ハラワタを処理するおばちゃんの手さばきを褒めたたえ、重さをおまけしてもらう交渉をしてみるとよいかもしれない。
釣りも兼ねて遠方から訪れる場合は、クーラーボックスや保冷材を積んでおくのがベター。クーラーボックスや氷は別売り。ここでも商魂たくましい。帰ってから食べる塩焼きはなかなかに美味である。夕飯の食材にもなり一石二鳥なため、めぐりめぐってリーズナブルととらえることもできよう。
キャンプ場なども充実したこの地区で、アクティブに涼しさを満喫するのであればぜひおすすめしたい、おしゃれとかそういう感じではないものの、なかなかに楽しみがいのある穴場なレジャースポットです。