スネイクロード。英語表記ではすこぶる格好いい緑道である。
かつて国鉄沼津駅と狩野川の河口を結ぶ「国鉄沼津港線」が走っていたその名残を、沼津市唯一の緑道として整備したのがこの蛇松緑道。
「蛇松」のネーミングは、そのまがりくねった道の姿に由来するのではなく、当時の港に鎮座していた、大蛇が寝たようにうねる老松からくるものだそうである。現在は沼津市白銀町から港近くの蛇松町までの約1.8キロが緑道として整備されており、その周辺は乗運寺、永明寺など由緒ある自社が並び、完成な住宅街を縫うように人や自転車を通している。
緑道沿いには120種14,000本におよぶ植栽で緑が添えられ、ただの道ではなく憩いの場としての機能を持っている。この植栽は、行政ばかりか地域の人たちによって手入れされているものもあり、春先には近所の藤がきれいに咲き誇り、緑道の春の風物詩として人気を博すほどである。
緑道という憩いの場である側面を持ちつつも、暮らしの中を抜ける道という表情も持ち合わせているため「幸の池」なる水場は、蚊の発生を防ぐため水を抜かれており、枯山水を思わせる雰囲気になってしまっているが、それもまたこの緑道のディスティネーションなのかもしれない。
道、というスタイルをもった憩いのコンテンツ。暮らしへの密着度については、公園という限られた公共スペースよりももっと汎用性が高いのかもしれない。そうった意味では、公園のあり方などを考えるにあたってこの緑道のあり方はひとつのマイルストーンになるのではとすら思う。
歴史、暮らし、憩い。いろいろな角度から見ることによって、より味わい深い楽しみ方ができるであろう。何はともあれ、歩いて感じていただきたいものである。