明治26年に大正天皇の皇太子時代のリゾート施設として造営された沼津御用邸。
日本の歴史公園100選のひとつであり、国の指定名勝。
正式名称は沼津御用邸記念公園。
気候が温暖で主に冬の避寒のために皇族のみならず貴族にも人気があったとか。園内は沼津らしく松林が陽射しを遮り、季節には紫陽花などの花々が咲き誇ります。過ごしやすく、目にも美しい風景は生来健康に恵まれなかった大正天皇の保養の地として、沼津が選ばれたことも納得できるような気がします。
戦火により本邸は消失してしまいましたが、謁見女や侍従たちが過ごした西付属邸と、後の昭和天皇の御学問所として造営された東付属邸が今なお残り、皇室の薫りが訪れた人を迎えてくれます。
一般公開されている西附属邸を見学するのであれば、ボランティアスタッフに案内してもらうのがおすすめ。おばちゃんたちは意外とテンション高く、いろんなことを教えてくれます。どこでご飯を食べたとか、お風呂のお湯がどうやって運ばれたとか、皇太子時代の昭和天皇のエピソードなどは非常に興味深く、皇族の皆さんに親近感を感じることができます。近隣小学生との相撲のエピソードなんかはさすがの昭和天皇という感じです。その内容はぜひ沼津御用邸記念公園でお確かめください。
建物に限らず、周辺も含めて潮騒が涼しさを運び、緑の広場では近所の幼稚園児などがシートを広げてランチを楽しんだりと牧歌的な側面も。
園内には沼津垣と呼ばれるトラディショナルなパテーション(風防)などもみられ、沼津らしい風景を皇室の面影とともに満喫できそうです。
昭和44年に沼津市に移管されてからは、喫茶などができるようになったり本邸跡は歴史民俗資料館として活用されるなど、市民にも広く愛されるようになりました。
そんなこんなで平成28年には「旧沼津御用邸苑地」の名称で国の名勝に指定され、今日ではこのロケーションを活かしたイベントが企画・開催されティーパーティーとかやっちゃうなど、用途は変わりつつも癒しを感じるスポットとしては皇族の皆さんも地元民にとっても大きなコンセプトは変わらないのかもしれません。