富士市の沿岸部、田子の浦に突如として現れた新興公園。
なんでも田子の浦港の拡張工事にともなう土砂を再利用して造成されたなんともエコロジカルな公園である。北には富士山、南には駿河湾。海浜植物園や子育支援広場など7.3ヘクタールというなかなかの規模を誇る。
さらにはアスレチックやロープ遊具なども充実しており子連れで遊ぶにはもってこい。他にもサイクリングやジョグなどにも広く活用されており、犬の散歩もよく見かけ潮騒と開放感でとりあえずきもちがよい。冒険広場のひとつひとつの遊具もシンプルでありながら公園の雰囲気を邪魔しないスタイルを持っているのも特徴。
よく晴れた日にはお弁当を持って出かけてみるのもよいかもしれない。東屋やベンチなども充実しているため、レジャーシートなしでもなんとかなる。むしろ広大な芝生広場に直に座って寝転ぶのもよさそうである。
煙突と新幹線、そして漁港に釣り人、もちろん富士山を見事に借景した展望築山はこの公園のシンボルとなりうる存在で、とにかく登ることをお薦めしたい。むしろ登らずにはいられない。海沿いということで頂上は風が強いがそれもまたこの公園ならではの魅力であり、寒い季節には夜景を眺めながら寄り添うにはもってこいである。
そんなこんなで、他の都市型公園などとはちょっと違う雰囲気を醸しだしており、これからの公園の立ち位置は利用者にかかっているという気がしてならない。そうなのである、公園とは行政や管理者がその「ハード」を用意・提供するスペースではあるものの、その活用方法などは市民が必要に応じて考え、スタイルを確立していけばよいのである。
平日の夕方、公園東南端の夕日のステージでは(音色からして)尺八を奏でているおじさまがいらっしゃった。もしかすると設計者の思いとは違う方向に向かうこともあるけれど、それはそれでよいはずで新しい発見になりうる。
多様化する価値観を禁止・制限するのではなく、それを包容できる環境を整える場所として、今一度公園がそんな存在になりうるフラッグシップになれそうな公園である。そんなことを尺八の音色を聞きながら思った次第。
公園はイベントに代表される「非日常」なものを開催するにはうってつけである場所だが、本来は日常に溶け込む空気のような存在であり、非日常のシーンでのみ公園を利用するのは本末転倒な気がしないでもない。
現状、まだ完成はしておらずちょいちょい造成中や工事中の場所もある。公園レベルが高まってきた(ように思える)富士市でも注目の大型公園である。
さて、ハードとしてのみならず日常の姿を持つ公園としてどんな姿になっていくのか、そんなところにも興味のもてる公園と言えそう。