沼津市の西のほう。春になると国道1号線と並行して流れる沼川沿いに5-6㌖ほど続く桜並木が出現します。本数は600本と言われておりますが、とりあえず桜並木がけっこう長く続きますよというエリアです。
コクイチが三車線となっている辺りは歩道がそこまで広くとられていなかったり、道路に近いことや、提灯の吊り下がり具合を考えると、今沢から西添町くらいまでを便宜的に「沼川沿い 白隠さくら」としてご紹介しましょう。なぜ白隠と呼ばれるかは…また折を見て詳しくご案内したいところでございます。
暦が春となると、この辺りに住む人や通勤・通学で沼川沿いを通る人などがほんのりそわそわしはじめたら、それが桜のつぼみがふくらむサイン。例年4月1週目には「白隠さくらまつり」なる催しも開催されますが屋台は10を数えるかどうかという程度。名物白隠太鼓の演舞などもありますが、対外的にアピールするというよりも地元に根ざした、こぢんまりとした桜まつり。それでいい、それがいいと思わされるような雰囲気を作り上げています。
桜の開花時期にはお祭りだけでなく、桜並木とその風景が地域の人たちにどこまでも親しまれています。沼川土手には時期を同じくして黄色の菜の花もわんさか咲き、清い流れとは言えなませんが沼川に泳ぐ鯉やカメなどののんびりとした様を見ていると、のどかな春だなあと思わずにはいられません。桜並木沿いにはちょいちょいベンチが設けられておりシニア層がちょっとした休憩をするのにもってこい。シーズンには少しでもスペースがとれる場所に集合した地域の仲間でお花見をする姿を散見することもできます。そしてツウな白隠さくらの楽しみ方といえば、コクイチにかかるいくつかの歩道橋に登ると、桜並木をすぐ眼下に見下ろすことができるというレアな風景。
コクイチを走ることでその存在を知っている方も少なくないと思いますが、その桜並木のなかを通ること、ビジュアルとしての桜だけではない地域の息遣いも一緒に楽しむことによってまた違った魅力に触れることができるのではないでしょうか。
颯爽と自転車で桜の下を走ってみたり、ただただ歩いてみたり。よちよち歩きのベビーが手を惹かれ桜の花びらを追いかけていたりする姿や、カメラをもって一生懸命に写真を撮っている様子。
それぞれがそれぞれに思う「おらが村の桜が一番!」みたいな、俗化されることによってその美しさを確立した桜の風景を楽しむことができそうです。そして桜の花が咲いていなくとも、地域の人にとっては「川沿いをただ歩く」という日常があるんだと容易に想像ができますね。