公園にはいろいろな楽しみ方がある。ぼーっとするのだけでも楽しいし、レジャーシートを広げてお弁当を食べるのもいい。好きな音楽を聞いたり読書をしたり。
仲良しのカップル、お散歩を楽しむおじさん。ジョギングをする人。物思いにふける、もしかしたら落ち込んでいるかもしれない人。
いろんな人、いろんな楽しみがあるなかで、公園に好きなものを持って行くと、いつもの公園がもっと楽しくなるのは疑いようのない事実。
音楽が好きな人なら、公園で音を出してみるのはどうだろう。それはきっと、ボールあそびやスケボー、カメラを片手に公園に足を運ぶのとそう大きくは変わらないと思われる。アコースティックギター、カホン、ジャンベなどを持ち寄ってみんなでセッション。みんなでひとつの音を作りだす楽しさがそこにはある。
裾野で建築設計・デザイン業務の他、図工教室を開催しているアトリエ奏の村井之俊・村井藍と音楽を愛する沼津のギタリスト芹沢光暁が主宰するTAPPERS。楽器を作ることの楽しさと音と触れ合うことの楽しさを伝えるユニット。ペルー生まれの打楽器カホンを作るワークショップ、音を楽しむイベントを開催している。
なお、2015年8月に発行となったフリーマガジン、富士山周辺公園ガイドに掲載となった63ヶ所の公園でカホンを叩いてまわるという奇妙な取り組みをしているため、どこかの公園でカホンをならしている御仁がいたら、それはきっと村井さんとみつとしくんに他ならないので、ぜひ声をかけてみて欲しい。
音楽演奏というとハードルが高いと思う人もいるかもしれないが、実はとてもシンプルだ。誰でも気軽に参加できる手軽さがカホンの魅力のひとつである。リズムを何となく叩くだけでも面白いし、簡単な8ビートなら5歳くらいの子だって教えるとすぐ叩けるようになる。そして、人とセッションをすることで不思議な感覚が生まれる。
調べてみればカホンのDIYキットがあったり、持ち運べるバッグとセットになっているものなどもラインナップ。
手軽にはじめられる、公園でもリズムを楽しめるのがカホンのいいところ。
お互いが音と感覚を意識して音を混ざり合えれば、世界で誰も聞いたことのない音・空間を生むことができる。公園の雑音が音楽となり、まるで祭りのお囃子を遠くで聞いた時のようなワクワク感がそこには存在する。
建築士である村井さんが図工教室を始めたきっかけは、子供用の自転車置場をお客さんと一緒に作ったことだとか。その時改めて実感したものづくりの楽しさを、多くの人たちに体験してほしい!という思いからスタートした。子供目線の建築デザイン設計=図工教室であり、そこに芹沢氏の音を楽しむという要素が融合しTAPPERSが誕生、カホン作りに繋がった。
芹沢さんが追求するものの原点は東京に住んでた頃に遡る。週末に多摩川の河原に行くと、ワーゲンを改造したバーが出現していた。そこには面白い人が集まり、自然とセッションが繰り広げられていてとても楽しかった。その空間には言葉やお世辞なんかいらない。ありのままで通じあえる最高の空間言葉以上の特別な何かだったとか。
公園で開催されるイベントにも積極的に参加。富士市の岩本山公園でのワークショップでは幅広い参加者が募り、カホンの製作やリズム遊びに熱中した。ステージで歌っていたアーティストとセッションをした時、演奏者と観客の間を超えて一緒に楽しめる楽器だと確信したという。
音楽が好きな人はきっと多い。
だから、今日は音楽をもって公園にいこう。
そこでセッションなんてはじまったらもっと楽しい。