江戸期の伝説的な彫刻名工、左甚五郎(ひだりじんごろう)が魂を吹き込まれた藁人形たちを助っ人に、三日三晩のうちに建てたというすごい伝説をもつ観音堂。
左甚五郎とは、日光東照宮の眠り猫でおなじみの彫刻界のレジェンド。なんでも彫刻の腕がすごすぎて「お前の右に出るものはいない、だから今日から苗字は左な」と苗字を賜ったということらしい。そんなエピソードを筆頭に逸話がありすぎる左甚五郎さんは、個人名ではなくレーベル名なのではとの噂もあるそうな。
さて、そんなレジェンドが手がけた江戸初期の建築様式による木造茅葺の寄棟造の赤野観音堂。
茅葺屋根以外は当時のままの姿を残しているらしく、観音堂自体もレジェンドとなっている。
ただし、茅葺屋根は定期メンテナンスが必要なため、浄財(寄付。今風にいうとドネーションいやクラウドじゃないファンディング)を募集している。一口千円からなので、ぜひよろしくお願いします。
そんな堂内の天井には龍が、壁には天女が描かれているとこれまたすごい噂があるものの、室内に入ることはできないので残念ながらその姿を拝むことはできません。
かつちょっとした心霊スポットとしても名高い観音堂でもあるので、中を覗くのも少し勇気がいります。観音堂はセコムしてないため、御本尊である十一面観世音菩薩立像(沼津市指定文化財)はここよりちょっと下がったところの廣大寺に安置されており、たまにご開帳されるとか。
ずらりと並ぶ石仏群や樹齢数百年のカヤの木があったり何かと歴史を感じられるスポット。その性質上、キッズが爆裂に遊ぶという場所ではないのはご理解いただけよう。
愛鷹山南麓の立地から茶畑なめの駿河湾と沼津の街並みの景色はすばらしく、このあたりのロケーションからサイクリングやジョギングの際に立ち寄るもよし。紅葉時期などは茜色に染まる茅葺屋根、まさに赤い観音堂を楽しむもよし。
ひっそりとたたずむ沼津のレジェンドである。